温泉ライター 野添ちかこのお湯の数だけ抱きしめて

アクセスカウンタ

RSS 【第141回】心躍る♪野菜たちの饗宴 〜里山十帖〜 (新潟県・大沢山温泉)

<<   作成日時 : 2015/04/15 11:21   >>

トラックバック 0 / コメント 0

やはり、角度が違う、この宿。

画像雑誌『自遊人』の編集長、岩佐十良さんがクリエイティブディレクターを務める「里山十帖」は、これまで岩佐氏が培ってこられた建築物や食、空間についての思い入れを凝縮し、具現化したもの。建材、調度品、アメニティなど細部にまでこだわりが感じられます。

築150年の総欅、総漆の古民家に最新の断熱・空調機能を施し、積雪が3メートルになる真冬でも、室内は素足で歩けます。

古民家の重厚な空間に真っ赤なデザイナーズチェアが置かれていたり、インテリアはなんとも斬新。

客室のデスクに置かれた案内には「ご挨拶に代えて」とあり、
「2012年7月、私たちは一軒の宿を引き継ぐことになりました。でも、旅館を始めたかったわけではありません。レストランを始めたかったわけでもありません。ましてや“おもてなしの心”を伝えたかったわけでもありません。始めたかったのは、新たなインタラクティブ・メディアの枠組みをつくること。

見る、嗅ぐ、聞く、感じる、眺める、座る、くつろぐ、食べる、飲む、寝る……。滞在中になにかひとつでもインスピレーションを感じていただければ、それはこの上ない幸せです」とあります。

新しいインタラクティブ・メディア‐‐。
居心地はいかに。

山々を見渡す
絶景の露天風呂

画像「天気がよければ、巻機山が目の前にどーんと見えますよ」。

何度か、雑誌やテレビで見たことのある絶景の露天風呂。
肉眼で見ると、その迫力はもっとスゴイらしい。

楽しみにやってきましたが、訪れた日は雪がまだ降りやまぬ3月下旬。季節が逆戻りしたかのような天気で、露天風呂からの眺めも真冬の姿。目の前に広がる巻機山ははっきりとは見えず、雪にすっぽりと覆われていました。

それでも、開放感と泉質のよさは十分に感じることができました。

「美肌の湯」といわれる温泉は、無色透明ながら、湯の中に細かな湯花が舞っています。
pH8.5、泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で、肌に触れる感触はとろとろ。美容液のよう。若い女性客が多いのは、この泉質を求めてのことでしょうか。

画像湯上がり後もしばらくは湯冷めしにくい「温まりの湯」。
館内は畳や無垢の木のフローリングだから、タイツを脱いで裸足で歩くと気持ちいい!

そして、長い時間過ごす客室は、シンプルかつスタイリッシュ。
ビジネスマンやクリエイターの利用が多いそうで、全館でWi-Fi環境が整い、客室内にワーキングデスクも。こんな部屋で仕事をしたらさぞかしよい発想が浮かぶことでしょう。

ソファやベッドなどの家具類、ティッシュボックス、かご、タオル、ハーブティーの入ったガラス瓶にいたるまですべてが洗練されています。

「雪国らしさ」を追求した
野菜が主役の“自然派 日本料理”

この宿の神髄は料理です。
豪華な懐石でもなく、お腹いっぱい食べるバイキング料理でもありません。

「刺身、天ぷら、鍋……」といった定番に囚われることなく、旅館料理の概念を覆した「野菜」が主役の料理なんです。

画像テーマは、「大地の恵みを感じていただくこと」「食材の力を感じていただくこと」。

使用している食材は、”力のある野菜” です。

最初に出てきたのは、野菜のスープ。

人参やごぼうなどの野菜を大鍋でぐつぐつ煮ただけのスープは、「野菜ってこんなに甘いんだ」と思いださせてくれる一品。お腹がぐうっと動き出します。

次のお皿は、「里山の薬膳」。メインは2種類のにんじんを巻いた春巻。さらに豆腐のキッシュ、豆腐と酒粕、れんこんとあずき、雪下にんじんのムースが添えてあります。れんこんのシャキシャキとした食感が残っていたり新鮮味を感じます。

お次は、せり、うるい、ふきのとうのスープ。あさりの出汁がポイントです。

「海と里山の出会い」と名付けられたお寿司も変わり種。
まるであわびのように見えるのがシイタケ、もう一つは佐渡の寒ブリ。それぞれ、柑橘系の醤油、卵醤油で下味がしっかりついています。

ここで、初めての肉料理が登場します。
にいがた和牛の自家製ローストビーフ。
秋と冬は肉・魚の出番も多くなるそうですが、春と夏は野菜や山菜が多くなる。季節に合わせたメニュー構成が楽しめます。

画像そして、新潟といえば、なんといってもお米でしょう。

南魚沼のお米を大沢山の湧き水で磨ぎ、土鍋で炊いたつやつや、ピカピカのお米はこれだけで、ペロッと一膳行けちゃうくらい、甘みと旨みが凝縮されています。

スイーツは、ヴィーガン料理(動物性の食材を使わない菜食料理)のシェフをしていたパティシエがつくる、ヴィーガンスイーツ。白砂糖を使わず、自然の甘みだけのヘルシーなもの。

「スイーツだけでなく、すべての料理で白砂糖を使用していません。甘酒やみりんの甘みだけで、てんさい糖もわずか。だから、胃がもたれず、翌朝は体が軽く感じる。体重も増えません」
(岩佐十良社長)とはなんともうれしい話です。

画像砂糖だけでなくて、すべての調味料が無添加、天然醸造のもの。とくに醤油と味噌は木桶仕込みの天然醸造品を使っているそう。

出汁は鹿児島・枕崎の本枯節と北海道の天然真昆布、大分のどんこ椎茸。料理酒にも新潟・魚沼産の日本酒「鶴齢」を使うというこだわりよう。

こんな宿、ほかにはないかもしれません。

旅館料理を食べ続けたら、太って、体調が悪くなる。そんな旅館料理とはさようなら!
上質で体にやさしい食材を使った型破りの料理をお酒とともにいただく。
本当に贅沢な滞在というのは、こんな料理があって初めて実現できるのかもしれません。

里山十帖
新潟県南魚沼市大沢1209-6
●全12室(うち露天風呂付き客室8室)
●1泊2食(1室2名利用)一人24,800円(税別)〜
●日帰り入浴 不可

※掲載情報は変更になる場合もございます。
ご予約の際には、必ず内容をご確認ください。

月別リンク

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする

ニックネーム
本 文