温泉ライター 野添ちかこのお湯の数だけ抱きしめて

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RSS 【第132回】魯山人も愛した美食の宿 〜あらや滔々庵〜 (石川・山代温泉)

<<   作成日時 : 2014/11/26 14:36   >>

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画像稀代の美食家であり、芸術家である北大路魯山人ゆかりの温泉、山代温泉

山代には、魯山人が宿賃代わりに置いていった書画や看板、陶器などが残るゆかりの宿がありますが、「あらや滔々庵」もその一つ。

共同湯「古総湯」の目の前という一等地にある宿です。

歴史のある山代温泉の地でも指折りの歴史を持ち、江戸時代初期、加賀大聖寺藩の藩主、前田家の初代、利治(としはる)公があらやの湯を気に入り、湯番頭(ゆばんがしら)に任命したのが始まり。あらや初代は「荒屋源右衛門」の名をいただき、現在は18代目が宿を切り盛りしています。

視覚でも堪能
料理と器の饗宴


画像山代温泉の開湯は1300年前。僧・行基が一羽のカラスが温泉で傷を癒しているのを見つけたのが始まりです。

山代温泉には現在20軒程度の宿がありますが、1300年前と同じ源泉を使っている宿はその約半数。湯元だったあらやはいまでも他の宿よりも豊富な湯量が確保できているといいます。

あらやの風呂は3つあり、夜21時と朝9時に男女が入れ替わります。
2つの大浴場のほか、風変わりなのがメディテーションバス。
薄暗い照明でぬる湯とあつ湯の2つの湯船を備え、不思議な感覚が味わえる湯船です。

画像さて、客室は加賀ならではの紅殻(べんがら)塗りの朱壁がモダンな印象の前田藩ゆかりの「御陣の間(おちんのま)」のほか、伝統的な和の空間にモダンなチェアが置かれた客室など全18室。

通された「九谷」の客室はぐるりと巡らされた畳敷きの廊下に12・5畳の和室と、ローベッドの置かれた次の間がある客室。広縁部分にはタイルが敷かれ、モダンな雰囲気のチェアが置かれています。檜風呂には温泉が注がれ、湯船からは外の空間を眺めることもできます。

部屋の風呂も源泉ですが温度が熱いので水で薄めて入ります。
泉質はナトリウム・カルシウム‐硫酸塩・塩化物泉。
無色透明でさっぱりとした肌触りの湯。この規模で、すべての浴槽がかけ流しというのはさすがといえましょう。

画像お楽しみの料理は客室でいただきます。
美食の宿の評判を裏切らず、一品一品が丁寧に、そして上品な味わいで供されます。

この日のメニューは、
前菜はくるみ豆腐やゆばのすり流し、きぬかつぎ、むかごしんじょうのうに焼き、川海老、白瓜の昆布〆、さんまの棒寿司、しめじのごま浸し。

椀ものはきのこしんじょう、
お造りはしょうゆと能登の天然塩でいただく、鯛とカンパチ、鯵、白虎エビ、バイガイなど橋立漁港で挙がる魚介類。
焼きものは甘鯛の塩焼きと万願寺唐辛子。
口代わりにいちじくと巨峰、カモのロース煮、

酢の物は毛ガニ 金時草と太胡瓜添え、
すき焼き(大根おろしと黄味おろし)、
ご飯はとろろ飯、一番摘みの茎だけを使用した「加賀献上棒茶」で締めます。

ご主人自ら選んできたという色とりどりの器は若手の作家の作品なども含め、センスのよさが光ります。

美術館のごとき館内には北大路魯山人の書画や篆刻、器などが展示されています。

画像また、木造離れの一軒家「有栖川山荘」は夜はバーになります。

皇族の来館にあわせて造られた建物は、明治10年の建築。
照明を落とした雰囲気あるバーでワインやカクテルを傾けて夢想のひとときを。

私は夕食のスイーツをバーに運んでもらってスイーツ&お茶をいただきました。型にはまらない柔軟な心遣いが嬉しいですね。

画像翌朝の朝食は、名物の温泉粥。
少しだけ塩味があるのでしょうか。口の中にやさしく広がり、胃にもたれません。

おかずは、塗りの器に盛られた大根と水菜のサラダ、温泉たまご、かじきまぐろの昆布巻、なんば味噌、わさびの葉漬け、しらすなど。

66℃の源泉に5時間浸けてできあがった温泉たまごはとろっとした感触です。

渋めの器にはガンド(鰤の子供)と、地元では行列のできるほどの人気を誇る福井・谷口屋の「竹田の油あげ」。そのほか、ナスとカモリ(冬瓜のような加賀の伝統野菜)の炊き合わせ、豆腐の餡かけにはしょうががのっていて食欲をそそります。

夜もたっぷり食べましたが、心地よい味わいなので全部ぺろり。あさりの味噌汁まで美味しくいただけました。美しい日本の食事というのはこういう料理のことをいうのかもしれません。コースでありながら、健康にも配慮している感じがします。

さて、北陸といえば、蟹!

山代温泉では11月6日にズワイガニ漁が解禁となり、3月いっぱいくらいまで食べられます。カニのなかでも、石川ではオスのズワイよりメスの「香箱ガニ」が小ぶりだけど美味だと人気。こちらは1月10日くらいまでの限定。
刺身、ゆで、焼きガニ、雑炊までおフルコースで48,750円〜。毎年、東京から飛行機で蟹を食べに泊まりに行く人もいるそうです。

12月中旬〜下旬には雪も降り始め、一層趣きある景色を眺めることができそうです。
期間限定のカニ料理を食べに山代温泉に出かけてみてはいかがでしょうか。

あらや滔々庵
石川県加賀市山代温泉湯の曲輪
●全18室(うち9室は半露天風呂付き)
●1室2名利用一人30,390円〜(蟹のコースは48,750円〜)
●IN 14時/OUT 11時
●日帰り入浴 不可

※掲載情報は変更になる場合もございます。
ご予約の際には、必ず内容をご確認ください。

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