温泉ライター 野添ちかこのお湯の数だけ抱きしめて

アクセスカウンタ

RSS 【第112回】湯治場の伝統行事「さんげさんげ」 〜 つたや肘折ホテル(山形県・肘折温泉)

<<   作成日時 : 2014/01/29 15:08   >>

トラックバック 0 / コメント 0

「崖から落ちて肘を折った老僧がこの地の湯に浸かったところたちまち傷が癒えた」と伝わる肘折温泉。冬にはすっぽりと雪景色に包まれる東北の湯治場です。 

1200年の歴史を刻む古湯で毎年1月7日に行われる「さんげさんげ」という伝統行事に参加してきました。

画像「さんげさんげ」というのは、「懺悔懺悔」がなまったもので、六根の穢れを取り去り、無病息災、商売繁盛、五穀豊穣を願う出羽三山の年越し行事で、本来は12月の行事ですが、今は1カ月遅れで温泉街のお祭りとして行われています。

白装束の行者たちが法螺貝を吹き、念仏を唱えながら温泉街を練り歩きます。

厳かで清々しいこの伝統行事、一度はとだえてしまったものを昭和59(1984)年に復活させ、今年で31回目を数えるそうです。白装束で歩くのは一般からの参加も可能で、今年は首都圏などから6人が参加していました。

肘折の魅力は、なんといっても、素朴な雰囲気。
正月明けの平日で、雪深く、アクセスがあまりよくないということもあるでしょう。
イベント時でも、お客さんはそんなにいません。
湯治客がお餅をもらいに列をなす、のどかな光景。癒されるなあ〜。
俗化されていない昔ながらの湯治場の姿がそこにありました。

江戸時代から続く「肘折三十六人衆」という集落の相互扶助を目的とする「契約講」がいまも残り、温泉の権利を守っていることも素朴さの理由かもしれません。

混浴風呂もある
つたや肘折ホテル

今回の滞在は2泊。
1泊目は、「つたや肘折ホテル」を選びました。
1泊3食で湯治を中心とした「本館」と1泊2食の「別館」がありますが、どちらを選んでも低料金でお財布にやさしいのが湯治場ならではの魅力でしょう。
さらに、「食事は湯治客用でいいので、別館宿泊で‐‐」といった個別の要望にも応えてくれます。

泉質は、「ナトリウム‐塩化物・炭酸水素塩泉」。
重曹成分が皮膚表面の余計な汚れをさっぱりととりさると同時に食塩成分が皮膜をつくってパック、保温効果で湯ざめしにくく、さらに炭酸ガス成分の働きで血管が拡張され、血流がよくなり、新陳代謝を促進します。

この宿では69〜86℃の4本の源泉が使われていますが、浴槽によって混合率が異なり、肌触りも少しずつ異なります。別館1階にある男女別浴場は、組合2号泉が中心に注がれており、奥の浴槽はまったりと濃いうぐいす色をしています。湯が注がれるところは明るい黄土色の折出物が折り重なり、成分の濃さがうかがえます。

「肘折の湯はかなり濃くて、湯花(スケール)がつきやすいんです。組合2号泉は月に1回パイプの掃除を行わないと、詰まってしまうんですよ」と話すのは、社長の柿崎雄一さん。成分が濃い=効果も期待できるわけですが、温泉を管理する宿の方は苦労が多いようです。

画像大浴場にある手前の浴槽は浅い寝湯。奥の浴槽よりも黒っぽく見えましたが、泉質は同じ。
浅いので、色が違ってみえるのだといいます。温度が低く保たれているので、浴槽で長居ができる。寝湯の温度が低くなっているとは、さすが湯治場ならではでしょう。

2階部分で、湯治棟の本館「つたや金兵衛」につながっています。こちらは、木造。湯治料金で安く泊まれます。湯治棟の大広間をグループや家族で利用すれば、お得感も倍増。楽しい家族旅行ができそうですよ。

本館は湯治がメインですので、浴場も混浴。
脱衣所は男女別ですが、着物を脱いで浴室に入ると同じスペースに出ます。
右には「松屋源泉」を引いた湯。重曹の成分が強いのか、強いつるつる感を感じます。
左は組合源泉を使っていて、肌触りはとろりとして若干濁っています。湧出口に付着した湯花がすごい。

湯から上がった後は、湯中りまではいきませんが、体の中にたまっていた疲れが出てきたのでしょうか。少しけだるい感じ。湯の威力が強い証拠です。

翌朝は肌がつるり。さすが湯治場の温泉。1泊じゃもったいないので、是非とも何泊かして湯の恩恵にあずかりたいところですね!

つたや肘折ホテル
山形県最上郡大蔵村肘折温泉
●23室(別館)、11室(本館「つたや金兵衛」)
●1泊2食9,600円〜(別館)、5,300円(本館1泊3食〈湯治〉、暖房費別)、連泊割引あり
●IN 15時/OUT 10時
●日帰り入浴 可(14〜18時、300円)

〈おまけ〉肘折の面白イベント
[地面出し競争]
小中学校が閉校して、運動会で行っていた地域の行事を引き継ぎ、今年で5回目。
2月23日、最も雪が深い時期に行うイベントで、毎年、30組以上のグループがエントリーします。

6人ひと組で、5メートルの円の中で4名がひたすらスコップを持って、約3〜4メートルの雪の穴を掘る。一番早く土にたどりついたグループが勝ち。

スコップ使いが勝敗のカギ!?
雪国ならではの面白イベントです。

※掲載情報は変更になる場合もございます。
ご予約の際には、必ず内容をご確認ください。

月別リンク

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする

ニックネーム
本 文