温泉ライター 野添ちかこのお湯の数だけ抱きしめて

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RSS 【第102回】村のおもてなし料理と外湯めぐり 〜村のホテル住吉屋〜 (長野県・野沢温泉)

<<   作成日時 : 2013/08/26 17:31   >>

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村の人が、朝に夕に卵や野菜、山菜などを茹でる野沢温泉の台所、「麻釜(おがま)」。
その麻釜源泉の真ん前に立つ「村のホテル 住吉屋」は、ステンドグラスの大浴場が印象的な宿。客室数はたったの14室で、部屋のタイプはそれぞれ異なり、温かみのあるサービスが受けられます。

村の祝い膳料理がベース
田舎料理でおもてなし

創業は明治2(1869)年。「村のホテル」という名前のとおり、野沢ならではのホスピタリティが感じられるお料理としつらえでもてなしてくれます。

画像料理は旬の食材や地元の食材を生かした会席料理が主体。薄味だけれど、出汁がしっかりと効いています。

ともに供される大きな鉢や皿に盛った郷土料理「取り廻し鉢」は、野沢温泉に江戸時代から伝わる、地元の野菜や山菜を使った祝い膳料理で、それぞれ、小皿に取り分けていただきます。

例えば、「いもなます」は、じゃがいもを千切りにして水にさらし、サラダ油、砂糖、酢、塩、で炒め煮したもの。「塩煮芋」は、皮つきの小芋を炒め、砂糖、醤油、水で甘辛く2日間じっくり煮込んだもので、表面がパリッと飴状になって美味。地方に来て、本当に食べたいのは、どこに行っても同じ宴会料理ではなく、実はこんな気がきいた素朴な田舎料理だったりします。

宿は築100年の木造3階建て。のれんやランプシェード、小物類に至るまで、きらりと光る女性の感性が生きた宿です。脱衣所にはアケビの蔓で編んだかご、客室には冷水、ポットが置かれ、無線LANも引かれていて、華美ではないけれど不自由がなく快適です。

画像大浴場の湯は、あつめ。
敷地内から自噴する90℃近い2本の源泉を、空気に触れさせることで冷まし、湯船に注いでいます。客室の窓から見える源泉タンクは、温度を下げるために、たくさん穴が空いていて、そこに竹の棒が差し込まれ、竹箒を使って、湯が空気に触れる表面積を大きくする工夫が施されています。こうすることで、熱い湯を加水することなく、冷ますことができるそうです。

内湯は、ステンドグラスの灯りがゆらゆらと揺れるレトロな雰囲気。硫黄分を含んだあつめの湯は体に喝を入れ、シャッキリ元気になります。

は〜、いい湯だな〜。
思わず、そんな言葉が思わず出てきます。

宿から外に出て、
外湯めぐりに出かけよう

野沢温泉に泊まったら、外湯めぐりが楽しい。
宿から一番近い共同湯は、「麻釜の湯(あさがまのゆ)」。
坂を下って2、3分で到着します。

黒御影石の浴槽に注がれているのは、80数℃の高温の源泉。湯を触ってみると、すごく熱い。pH8.8。含硫黄-ナトリウム・カルシウム‐硫酸塩泉で、無色透明に見えます。入ってみようと試みましたが、50℃近い熱さでしょうか。断念……。
ホースが置いてあって、水道水を入れてもいいみたいでしたが、湯船が小さいのに、源泉が勢いよく注がれ、温度はなかなか下がりそうにありません。浴室には「ヤケド注意」の貼り紙。適応症は、糖尿病、リウマチ、神経痛など。

画像そのまま、入らずに、大湯へ向かいました。
朝6時30分頃。すでに地元のおばあちゃんが入っていました。手前が「ぬる湯」、奥には源泉そのままの「あつ湯」。「ぬる湯」というから、入りやすいかと思ったけれど、手を入れてみると、結構熱い。でも、さきほどの「麻釜の湯」ほどではなく、すでに人も入っているので、何度かかけ湯をすれば、入れるくらいの熱さです。

「熱かったら、水を入れてもいいよ」と先客のおばちゃんに言われて、水をすこし足します。聞けば、毎朝と夕に入りに来ている地元の人だといいます。
「中でつながっているから、入れるようになったら、蛇口はとめてね」。

無色透明だけれど、水を入れるとグリーンになるという、美しい色です。

「ここのお湯はね、薄めて長く入ると、貧血を起こす。熱い湯にさっと入って出る温泉なの」。

熱い湯を入りやすく薄めてしまうと長湯をする。それはあまりよくない、というわけです。pH8.5の単純硫黄泉は、入ると、つるつるする感触で、出たあとにはサラリ。熱いけれど、夏バテの体に喝を入れるにはぴったりのお湯でした。

「電気消していくからね」。
そう言って、おばちゃんは去っていきました。
そんなことも含めて、共同湯ならではの醍醐味か……。

宿に戻って、出てきた朝食は、「取り廻し鉢」の花まめ、ふきの煮物、いんげんのお浸し、茹でたての温泉玉子。おぼろ豆腐、魚の干物、お新香に至るまで、普通だけれど、温かみのある極上の朝食。仕立てのいい絹のシャツに手を通すような、丁寧な朝の時間が流れていました。
こんな料理が、もっとも嬉しい旅館料理の理想形かもしれません。

村のホテル 住吉屋
長野県下高井郡野沢温泉村
●全14室
●IN 12時/OUT 11時
●1泊2食16,950円〜
●日帰り入浴不可

※掲載情報は変更になる場合もございます。
ご予約の際には、必ず内容をご確認ください。

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