温泉ライター 野添ちかこのお湯の数だけ抱きしめて

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RSS 【第73回】絶品! エノハと燻製料理&美人女将がいる宿D 〜宿房 翡翠之庄〜 (大分県・長湯温泉)

<<   作成日時 : 2012/06/15 20:17   >>

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画像平成4(1992)年のオープンから今年で丸20年。

長湯温泉の中心街から少し離れた高台に建つこの宿は、離れと旅籠13室が点在する古民家風の宿です。

玄関をくぐって、フロントのある母屋に入ると、高い天井に茶褐色に燻された藁屋根が見えます。

何百年も経た古民家の宿かと思ったら、21年前の新築で、囲炉裏の火を毎日、絶やすことなくもうもうと燻し続けることで、このような色になったのだといいます。

白い湯膜が張る
一番風呂を目指そう!

画像この宿に着いたら、一番に行きたいのが、お風呂。フロントでカギを借りて、貸し切りの露天風呂「風」に入ると、2、3人でいっぱいになるくらいの大きさの岩の露天風呂に、緑がかった灰色の湯が満ちていました。

岩はオレンジがかった茶色に変色していて、温泉の表面には薄氷のような白い湯膜が張っています。じゃぼりと湯に浸かると膜はパリンとくだけてお湯に混じって湯の華になってしまいました。チェックインとともに風呂を目指せば、このぜいたくな一番風呂が楽しめます。

お湯はナトリウム・マグネシウム‐炭酸水素塩泉。
「うちのは、メタケイ酸が多いから、しっとりするようですよ」と女将さんが話す通り、つるりというよりは、潤いのある感触です。

敷地内の工場でつくる
鴨味噌、エノハ料理

画像翡翠の庄の真髄は、個性的なお料理にあります。
実は、私はこの日、旅館に3泊目。
3泊目ともなると、コース料理は食べ切れなくなってしまうことが多いのですが、この宿は食材の扱い方がとてもうまくて、貝殻を混ぜて艶出しした「呂人焼」の器を使った盛り付けもステキ。自然と箸が進みます。お昼がヘルシーなD級グルメだったこともあり、残すことなく、ペロリと平らげてしまいました。

最初に出てくる「自家製鴨味噌」は、細かく砕いた鴨肉と何種類もの野菜を混ぜて、鍋でコトコトと炒め煮したもの。ほんわりと口の中に広がる旨みは、なんともいえない幸せ感をもたらしてくれます。売店で売っていたので、早速、お土産として購入しました。

そして、エノハ(ヤマメ)は刺身から始まって、骨せんべい、唐揚、お茶漬けまで、どれもこれも美味しい! とくに、エノハを燻製にして細かくほぐし、出汁をかけた「幻のエノハ茶漬け」は、ほかでは味わえない一品です。

朝食には、身がほんのりとサーモンピンクに色づいたエノハの一夜干し。自家製ハムがのったサラダはミネラルたっぷりのなずなの塩をふりかけて。小さな壺の中には昨夜食べたエノハの茶漬けの残りの骨を砕いたカルシウムたっぷりのふりかけが入っています。

かつてマニラのペニンシュラホテルで料理修業をしていた首藤文彦社長の食材へのこだわりはかなりのもので、自身で敷地内に燻製の加工工場をつくってしまったほど。

さまざまな食材を燻製にできないか、研究を重ね、編み出したオリジナル料理の数々が供されます。

ドレッシングとエノハ茶漬け、鴨味噌は売店でも売っているので、自宅に持ち帰ることもできます。防腐剤も入っていない、宿限定の嬉しいお土産。久々に大量買いしてしまいました!

<おまけのインタビュー>
この宿の美人女将、首藤恵美子さん(52歳)に、オープンからこれまでのご苦労など、お話を伺いました。

画像――20年前に翡翠の庄をオープンした経緯は?
首藤 主人(首藤文彦さん)は長湯温泉の旅館の次男で、私は一人娘なので、結婚当初は、養子にという話もありました。その後、独立することになり、好きな釣りをしながら、仲間が楽しく集まれるようなペンションでもと考えていました。独立前に、主人はマニラのペニンシュラで修業し、その後、長湯温泉で小さな食事処をやっていましたが、お客様から「泊まれないんですか?」というお声を頂戴するようになり、湖の上にあるこの土地を求め、宿をオープンすることになりました。

――オープン当初あるいは現在、苦労されていることなどありますか?
首藤 当時は周辺に何もなくて、道路も舗装されていなかったので、本当に真っ暗でしたね。母屋は宮大工が釘を一本も使わずに組み上げただけの、日本古来からある建築方法を用い、年月が経つにつれてよい雰囲気になるように造りました。地元の風土に合っていて、土地と仲良く、長持ちしてくれる木を使おうと、お寺さんの裏山にあった大きなマツの木をこの宿のために切り出しました。なぜそんなに太い木が残っていたかというと、まっすぐではなかったからです。1本の木をトラックで運ぶのに、カーブが曲がり切れず、苦労しましたね。天然の防腐剤である木酢液をみんなで塗りました。梁や柱は薄い墨色から燻しがきいて現在ではこげ茶色に。萱も新品で白かったのが味わい深い色になりました。この20年で周辺に木も多くなりました。春から秋にかけては雑草との戦い。秋口からは落ち葉との戦い(笑)。スタッフみんなで掃除をしますが、自然には敵いません。

――女将さんはどんな一日を過ごされていますか?
首藤 6時に起きて家のことを片づけます。主人が独身者や夜遅いスタッフのお弁当をつくるので、その片づけもします(笑)。その後、宿に来て、スタッフのシフトを見ながら、早くて夜7時、遅ければラストまでずっと宿にいます。自宅は、宿よりもさらに山の上にあって、周りには、キジやタヌキ、ウサギやキツネ、イノシシなんかもいるんですよ。

宿房 翡翠之庄

大分県竹田市直入町長湯温泉くたみヶ丘
●全13室
●1泊2食15,900円〜(1人宿泊可18,900円〜)
●IN 15時/ OUT 10時
●日帰り入浴 可(男女別浴場500円、家族湯露天1,500円、家族湯内湯2,000円、12〜16時)

※掲載情報は変更になる場合もございます。
ご予約の際には、必ず内容をご確認ください。

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