温泉ライター 野添ちかこのお湯の数だけ抱きしめて

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RSS 【第13回】おもしろ温泉E地球の穴を発見!〜大丸あすなろ荘〜(福島県・二岐温泉)

<<   作成日時 : 2009/12/14 10:45   >>

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百名山のひとつ、二岐山の山麓にあり、周囲はブナやミズナラの原生林に囲まれた秘境。標高800メートルの地は夏は新緑に彩られ、冬には深い雪に覆われます。

足元から湧き出る
生まれたての温泉


画像あすなろ荘名物「自噴泉甌穴風呂」は岩の割れ目からぷくぷくと温泉が湧く天然の岩風呂で、これぞ地球の恵みという湧きたての温泉に浸かることができます。

開湯は平安中期と古く、安和2(969)年、政変で皇位継承に敗れた宮人がこの地に辿り着き、川底にあった自噴泉を見つけたといいます。「自噴泉甌穴風呂」は享保13(1728)年に湧き出る源泉の上に湯小屋を造り、現在のような姿になりました。

この辺りの地層は石灰岩で、その地層を通り、湧き出てくる湯にもカルシウム分がしっかりと溶け込んでいるのでしょう。宿の源泉は全部で6本ありますが、自噴泉甌穴風呂をはじめ、泉質は「カルシウム−硫酸塩泉」です。

でこぼこした岩の底にまあるい穴が3つ。温度は50度を超えていて熱いので、ホースの水で調節します。私は、普段は多少の熱い湯も平気な方ですが、訪れた時には足に傷があって、風呂に入るのに一苦労でした。前の週に、室内犬のいる家でダニに噛まれてしまい、炎症をおこしたふくらはぎは、湯をかけただけで沁みるのです。

硫酸塩泉の適応症は、動脈硬化症、きりきず、やけど、慢性皮膚病ですが、こんな傷があるときだからこそ、湯の効果をより感じることができました。何度も傷口に湯をかけると、骨の芯からビリビリと響いてきます。そうしているうちに炎症はおさまり、かゆみも緩和していました。この湯の威力はすさまじく、傷口はその後かさぶたとなり、数週間のうちに跡形もなくきれいに治っていました。

画像


大丸あすなろ荘にやってくるお客さんは、現在は1、2泊の人がほとんどですが、昭和45(1970)年頃までは鍋や布団を抱えての湯治客が多かったそうです。須賀川から約50q、バスで約3時間30分の道のりを砂利道を揺られて湯治客が押し寄せていたそうで、「農閑期には、当時13室あった客室は満杯。まだ残雪の残る春先に、某病院から看護婦さんが患者さんを連れてきて、廊下にまでふとんを敷いたときもありましたね。当時は雪解けの後、田植えの前後、収穫前などの農閑期に、最低でも5泊はしていました。7日帰りは縁起が悪いと6日や8日で帰っていく人もいました」(ご主人の佐藤好億さん、65歳)。大学病院などが増え、医療が普及したことにより、東北の湯治場から徐々に湯治客が消えていったという歴史も教えてくれました。

「このままでは山の宿の灯りが消えてしまう」。そんな危機感もあって、昭和47(1972)年、小さな山の宿が集まって「日本秘湯を守る会」を発足させました。湯めぐりをしていると、この会の名前が入ったちょうちんを見かけることも多いのではないでしょうか。現在では、人気の秘湯が名を連ねる会です。

東北には湯治棟を残している宿も少なくありませんが、大丸あすなろ荘は現在では近代的な建物に変わり、湯治宿の雰囲気はありません。しかし、人々を癒した湯の威力は健在です。

「自噴泉甌穴風呂」は混浴なのでカップルやご夫婦一緒でも。朝の6〜8時には女性専用時間になっていますので、女性でも安心してこの湯が楽しめます。

画像二岐川沿いには、大自然を満喫できる渓流露天風呂もあります。写真は夏の渓流露天風呂ですが、冬には一面真っ白な雪景色となります。混浴渓流露天風呂の女性専用タイムは18〜21時。冬場はちょっと寒いでしょうか。

夕食は源泉を利用して蒸しあげた黒毛和牛。源泉を使うことで肉がとってもやわらかく、ジューシーになります。あゆの塩焼きはたで酢で(冬〜春はヤマメの塩焼き)。この土地ならではの山の幸が満載です。

また、術後の人などが他の人の目を気にせず温泉に入れるようにとの配慮から、全24室のうち6室に内湯または露天風呂付き客室も用意しています。


大丸あすなろ荘

福島県岩瀬郡天栄村二岐
●全24室
●1泊2食14,850円〜(一人宿泊可+2000円)
●IN 15時/OUT10時
●日帰り入浴 可(735円、11〜14時30分)

※掲載情報は変更になる場合もございます。
ご予約の際には、必ず内容をご確認ください。

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